大洲市の中でも田園風景が広がる地域で生まれ育った私にとっては、大洲の市街地は賑わいがあって、昔からあこがれの場所でした。地方に住んでいる方は都会と比較しがちですが、今でも都会に出たいという気持ちは全くなく、むしろ大洲にはたくさんの伸びしろがあると感じています。無いものを求めたりどこかと比べるのではなく、まずは自分が面白がること、そして楽しむこと。そうすれば自然と周りの人も面白がってくれると考えています。

　私は大学進学で一度大洲を離れましたが、就職を機に大洲へ戻り、銀行員として働いていました。子供が生まれてからは子供服を自分で作り、「Sa-Rah」という自作のホームページにアップしていました。大洲にいながらでも全国の人と繋がれることが非常に楽しかったですね。「Sa-Rah」の展示会をいくつか行い、多くのお客様から好評を頂いたことで、2009年に店舗を構えることを決意しました。やると決めたら一直線なので、その月には銀行の支店長へ退職の相談に行きました。

　しかし、その頃から大洲には少しずつ空き家が増えていました。大洲には素敵な古民家が多く残っていることを知っていましたので、このまま放置しておくのはいけないと思い、古民家でお弁当や作家さんの作品、「Sa-Rah」のお洋服などを販売するクラフトイベントを行ったんです。正直どれほど集客できるかは予想できなかったので、まずは開催者である私たちが楽しむことが一番だと考えていました。しかし蓋を開けてみれば大行列。とてもに嬉しく、本当に楽しかったです。2020年にはご縁もあり「商舗・廊 村上邸」のオーナーになり、「Sa-Rah」のお洋服や県内の素敵なものを販売することにしました。自分が居心地の良いと思う場所に、それを良いと思うお客様が来てくれる。それが一番理想的ですね。

　大洲はここ数年で観光客の方が増えてきました。旅をしたときの思い出って「コミュニケーション」だと思うんです。自分が楽しむことで人とのコミュニケーションが生まれ、それをきっかけにまた行ってみようと思っていただく。そんな店舗にしたいし、それができるのが大洲の魅力だと思っています。

• Sa-Rah 公式ホームページ
• 商舗・廊 村上邸公式 公式ホームページ